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闘うコラム大全集
- 2026.04.30
- 一般公開
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皇室を狙う情報工作は中国発だった
『週刊新潮』 2026年4月30日号
日本ルネッサンス 第1193回
国際社会が動乱の真っ只中にある今、わが国の依って立つ基盤、国民統合の核となり得るのは皇室以外にはないだろう。阪神・淡路大震災、東日本大震災と大津波。どんな国難のときも皇室の御存在が日本国の求心力となり、混乱の中にも人々の心を前向きに励まし奮い立たせて下さった。
皇室の御存在のその意義を日本人よりもよく知っているのは実は中国人ではないか。だから彼らは日本国の安定の礎(いしずえ)である皇室を巡ってわが国の世論を二分し、皇室弱体化の情報工作を展開中なのだ。
ネット空間に愛子天皇待望論が溢れ、秋篠宮家に対する誹謗中傷が渦巻いている。新聞、雑誌にも同様の傾向が見られる。たとえば2025年5月15日、日本最大部数を誇る『読売新聞』が「皇統の安定 現実策を」と主見出しをつけ、女系天皇実現への期待を表明した。
読売だけではない。週刊誌はほぼ全誌が愛子様を礼讃し、秋篠宮家を非難する。なぜ、そのように偏った報道になるのか、編集者に問うた。「愛子天皇論」の見出しの号は売れ行きがよいからだという説明だった。
愛子様人気はそれほど高い。そこで愛子様人気をもっと煽る。煽り方は秋篠宮家への根も葉もない誹謗中傷と表裏一体だ。その種の偏った動画がネット空間に満ち満ちている。
一例がFacebookやYouTubeなどに動画を上げているアカウント「日本の魅力」である。日本の魅力であるから、どれほど、日本が好きになる内容かと思えばとんでもない。間違いと嘘で溢れた皇室を貶める悪意の塊である。同じようなサムネで多くの動画が出されている。内容はいずれも定型で、今上陛下御一家への手放しの礼讃と秋篠宮御一家への究極の貶めが対になっている。
血塗られた惨劇
中曽根平和研究所の上席研究員、大澤淳氏はサイバー空間における犯罪、影響力工作の分析においての第一人者だ。氏は右の動画がFacebookに上げられた時、直ちにアカウントやコメントを追跡し位置情報を割り出した。発信元は全て香港だった。大澤氏の解説だ。
「中国の情報工作があるのは明白です。目的は『敵社会』、つまりわが国の安定を崩すことです。皇室に目をつけたのは彼らが日本国を非常によく研究している証拠だといえます。とりわけわが国は今、皇室典範改正に取りかかっており、この機に愛子様、悠仁様を軸にして、日本の世論を分断する狙いだと考えます」
皇學館大学教授の新田均氏は、易姓革命を幾度も体験してきた中国人は、その意味も結果の悲惨さも知悉しているが故に、わが国を弱体化させる最も有効な手段として日本版易姓革命を起こさせようとしていると指摘する。その為に彼らが目指す第一歩が、男系男子による皇位継承の芽を摘み取ることだ。その先に皇室解体がある。それにはまず世論の流れを女系天皇に向けなければならない。
易姓革命とは、皇帝の姓が変わる、男系の血筋が変わることで王朝そのものが変わるという思想である。中国の王朝交替は前王朝の育んだ文化財の破壊、皇帝、幹部、人民の殺害など血塗られた惨劇を伴う形でなされてきた。
易姓革命で中国の国家、社会、人民がどれほど混乱の渦に投げ込まれたか。破壊と殺戮の悲劇が骨身に沁みている中国は、わが国の安定した平和な社会の土台を切り崩す最も有効な手法が、男系男子の血筋を断ち、日本版易姓革命を起こさせることだと本能的に知っているのであろう。
わが国の皇室は神武天皇以来、ずっと男系のお血筋で皇位を継承してきた。中国はそれを変えさせようと情報工作に余念がない。革命実現の第一歩は、まず愛子天皇を望む人々と悠仁親王の皇位継承を推す人々を対立させて世論を分断することだ。
同時に悠仁天皇実現の可能性を潰すために、秋篠宮家への嫌がらせを繰り返す。秋篠宮家の方々の心が折れ、天皇即位辞退という次元に行き着くまで続ける。さらにこのような状況を見せつけることで、旧皇族内の男系男子の方々に恐怖心を植えつけて皇族復帰を断念させる。中国の意図を新田氏はこのように分析する。
男系男子の方々を排除した上で、愛子様の即位を望む世論を盛り上げ、女性天皇を実現させれば、中国の思惑どおりになる可能性が高まる。
仮に愛子様が即位され天皇となられ、民間男性と結婚なさったとする。愛子様のお子様は男子であろうと女子であろうと、母親の血のみで皇統につながる女系皇族である。何十年かすぎてその方々が天皇に即位なされば、男子であろうと女子であろうと女系天皇の誕生となる。その時点で男系のお血筋は絶える。即ち日本版易姓革命の実現である。
偽情報をAIに学習させる
初代天皇以来のお血筋が絶えて、民間人の田中さんや佐藤さんの血筋の方が天皇に即位なさる時、皇統は変わるのである。中国の王朝が変わり続けたように、わが国の皇統も変わる、即ち、真の意味での皇統は滅びてなくなる。無論そのような皇室であれば求心力は確実に失われる。日本国の安定の礎も喪われる。中国の狙いが現実になる。私たちはその罠に嵌ってはならない。
だが、中国は執拗だ。狙いを定めたらずっと追求し続ける。大澤氏は中国の深謀遠慮を警告する。
「2年前、わが国で地方紙を装ったウェブサイトが見つかりました。多数のニュースを掲載しており、多くが大手メディアの報道のコピーですが、5%ほどひどい偽情報が混じっていました。サイトが目立たないためアクセスが少なく、余り話題にもなりません。しかし我々専門家グループが辿りついた仮説は、これは生成AIに読み込ませるためのサイトではないかというものでした」
今や検索するとAIが答えてくれる時代だ。AIは学習したデータに基づいて答えを出す。目立たないように偽情報をAIに学習させれば、5年10年経つ内に生成AIは多くの偽情報を蓄積していく。
その危険性を高めるのが、皮肉にも大手メディアによる記事の有料化だという。専門家による質のよい記事は、部分的に読めても肝心の部分は有料化される場合が多い。AIに読み込ませるには誰にとっても高額の支払いが必要だ。中国側はその種のコストを払わず、正しい情報を忌避する形でAIに偽情報を学習させているのではないか。地方紙を装ったウェブサイトに明らかな嘘を掲載し、AIに読み込ませ続ければ何が起きるか。大澤氏は大いに懸念する。
「たとえば何年か後に南京大虐殺の真実は何かとAIに尋ねます。すると、AIは中国が用意したとおりに答えるという事態が起きかねません。中国はそこまで考えて情報工作をしていると思います」
中国の情報工作に操られない為のあらゆる立法を急がなければならないのは当然だが、日本国民の私たち自身も、中国の情報工作を知り、警戒し、怪しい情報を見分ける力を身につけなければならない。
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